さあ、いよいよ最終エントリーです。修復ステージに上がる前からすでに物議を醸してました。
Vさんでーす。
さて、前々回、私は彼女の過去の受難について詳しく調査すべきか、見た目だけきれいにして終わらせるべきか、悩みました。
翌日、え〜みちゃんがやって来た時に、この事を話していて、“でも、けっこう頑丈なんだよ…”とか言いながら、
ごんごん…
え〜みちゃん「ちょっと、そんな事して本当に壊れたら…」
私 「だーいじょぶ、このくらいで壊れるんなら、壊れた方が…」
がんがん・・・
めりっ
お?
がんっ、がんっ?
バキッ…
\・ф・/ Ohilà! やったっ!
え〜みちゃんのおかげ!
クギ、などございませんでした。クギ穴を埋めた後のストゥッコ(パテ)でした。膠で再接着して、周囲のバリバリをストゥッコ(しかも、壁用の)で埋めて、色を塗ってあります。
この、イチゴミルク色は、白いストゥッコに“赤茶色”の染料の“赤”
(カドミウム系の赤は比重が重いので下に沈む)が染み付いたものです。
どうやら、彼女の受難のフォローにあたった人は2人いたようです。
最初の人は、とてもシンプルにクギで再結合しました。多分この椅子の持ち主じゃないでしょうか。その後、修理に出され、“こんな薄っぺらいところ、クギじゃあ保ちませんぜ” というわけで、膠で接着したんでしょう。多分、まだ、ボンドは普及していなかったのかも知れません。膠だって、充分な接着力を持っています。でも、この場合は膠で接着するだけでは足りません。何か他に補強するものが必要でしょう。
というわけで、めでたく(?)全壊いたしました。かつて壊れた時点から出直しです。
解体してみると、壊れた横木のジョイント付近一帯は虫に喰われまくってボロボロ、スカスカ、とても衝撃に耐えうるシロモノではありませんでした。
これは左脚のジョイント内部に蔓延していて、左側の座面枠のジョイントも半分位が損失しています。
まずは横木をちゃんと補修してから、背もたれの折れたところに取りかかります。
写真のように、横木の一部を切り取って、ジョイントの凸部付きの木片を補ってあげます。(写真とるの、忘れちゃったー。ごめんなさい)
座面枠のジョイントも III の時と同じように、接ぎ木して新しい凸部を作ります。
この椅子は、化粧板でコーティングしてある面をなるべく傷つけないように、材を加工しなければならないのが厄介な点です。手工具での作業となりますが、のこぎりを入れられる面が限られる為、ジョイント部分の接ぎ木などにはあまり複雑な組継ぎは使えません。念のため、補強用のダボを裏から打っておく事にします。
続きは、また次回。おやすみなさーい。
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