仲良く2人並んで、何ともほほえましい彼女等は、
左側が
V 、 そして 右が
VIII 、です。
いろんな事がありました。いちばん重症だった2人は、傷痕も殆ど見分けがつきません。
もう大丈夫。これから100年以上、ビーダーマイヤー時代の証人として生きて行ってもらいたいなあ。私なんか、すぐいなくなっちゃうけど、彼女達がここに居続ける為には、誰かの善い意志さえあればいいんです。
これが、“物”であります。人の手に因る物、であります。
どうせ、里子に出すなら、里親になって下さる方に、最終仕上げは決めて頂こうと思って、まだ、ニスもワックスも塗っていません。
当工房は、原則として、その家具に施されていた仕上げ方法を踏襲します。イタリア家具はもちろん、ビーダーマイヤー様式を持つ家具も、水性の顔料で微妙な色を自分で作って材を染めます。それからニス、ワックス、で仕上げるのが主流です。
たまにオイルフィニッシュもやりますが、これはテーブルの天板などを鏡面のように仕上げる、"a tampone" (タンポ塗り、って言うのかな)というやりかたで、手間はそんなにかかりませんが、時間がかかります。何しろ15回以上も、乾いては塗り…を繰り返すんです。オイルは乾くのに丸一日以上かかるので、作業は15日以上かかる事になります。しかも塗装するにはちょっと、経験が必要で、下手すると真っ黒なシミを残すはめになります。そうなったらもう、今までの塗膜も全部落として、振り出しに戻るしかないんです。…これについてはいづれ、実演しますのでお楽しみに。
というわけで、今は V も VIII も、他の、比較的見た目はきれいだった III と XII も艶なしです。これに、gommalacca(シェラックニス)を数回塗り重ねると初めて家具らしい艶が出てきます。
V がだっこしてる板の色が、ニスを塗った後の色になります。
これより暗めの色、マホガニーっぽい赤い色…など、お好みに合わせて調整可です。明るめにするのは限界があります。クルミの地色が出るまでサンディングをやればいいとはどなたも望まないでしょう?しぶとく生き延びたパーティナです。残してあげましょう。でも、もうちょっとなら明るくできるかな。
ここのところ、仏壇やら、茶箱やら、和家具の修理をしていて、漆も勉強しなきゃな、と思ってるところです。
そういえば、ディ○○の洋ダンスも修理しました。“物”ですらないようなシロモノでした。でも、これだって、少しずつ、壊れたところからリフォームしていけば、捨て難いタンスになってくれるかも知れないとも思うので、喜んで引き受けています。西品川付近にお住まいの方、どうぞお気軽にご相談下さい!
今、格闘している茶箱は、善い骨董です。総ケヤキに刷漆を施した、重厚な物です。
これの仕上げ塗装の為、近いうちに、知り合いの漆作家のところへ弟子入りします。
ちょっと、楽しみ。
あっ、それから。 HPにこの椅子達のページをアップしました。修復の終わったそれぞれの写真を、ゴゴーンと拡大できるので、かつての惨状をご存知の皆さん、比べてみて、修理箇所を探して楽しんで下さいね!
HP・
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