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9年間のイタリアにおける活動の後、帰国したアンティーク家具修復職人のブログです。
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:穴埋めパテ ( 1 )
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ライティングテーブル 修復してます その5
[
2008-12
-21 15:07 ]
1
ライティングテーブル 修復してます その5
さて、全ての木工作業は終了しました。ここまでがいってみれば外科手術の工程でした。この先は総合エステティックの工程となります。
Sverniciatore (塗膜剥離剤)
で先ず全身を洗ってしまいます。
この溶剤使用に関しては賛否両論あるようですが、200年も経た材の表面には、30~40年やそこらの汚れが覆い隠してしまうにはあまりにも貴重なサインが刻まれている可能性があり、それは
“オリジナルを尊重する”
という、修復理論の根底に在る精神からすれば、先ずは“精査”という意味での溶剤による洗浄は必要と考えます。
例えば、この机には沢山の Stuccatura (パテ埋め)の痕があります。誰かがそんなに昔ではない時代に、虫食い痕や、材の裂け目を埋めたものです。このパテはポリエステルベースに土や石膏などの鉱物系の素材を混ぜたもので1900年も半ばになるとかなり普及しており、今だに市販されています。
古典的な Stucco (穴やヒビ埋め用のパテ全般の総称)は石膏にピグメントを混ぜて着色したものですが、乾燥後の縮みが大きいことや、周辺の材にシミが残ることなどの不利点があり、現在も改良が重ねられています。
ここで使われているパテは、“縮み”の問題をポリエステルという素材で緩和したものですが、数十年もすればある程度は縮んでしまうし、水ベースの染料が乗らない、という欠点もあります。左のような深い裂け目などへの使用は、時を経れば簡単にボロっと剥落してしまいますし、材の変色と共に白く目立つようにもなって来ます。
Stucco の最新バージョンは大きな体積でも縮みがなく、しかも接着効果があり、染料による着色も可能、という優れものですが、いかんせんまだ高価であります。私は、もうちょっと前のバージョン、2コンポーネントのもので、接着効果はないけど、収縮性無し、着色可能というやつを使います。あまり深くないひび割れや、小さな節など、構造的には問題のない箇所はそれで埋めてしまいます。でも、上のような深い裂け目はやっぱり、めんどくさくてもクルミの無垢材を象眼するとか、おがくずと糊を混ぜたパテで塞ぎます。
話が逸れましたが、溶剤で古いパテや汚れの層を一枚剥がすことで、浮かび上がってくる本当のパーティナは、
こんな手のこでゴリゴリ切った痕とかー
古いくさびが打ち込まれていた痕とか…
背負っている歴史を物語る小さなサインです。これらから、私たち修復師は
“あ、素人が自分の為に作ったものだな”とか
“この脚は元々もっと幅の広い分厚い板
(くさびの太さからして、何か別のごつい農機具か何かからのリサイクル板)
をカットして作ったな”
なんて、まあ、どうでもいいっちゃあどうでもいい事を読み取るわけです。
精査が終わり、栗色の染料で、色を調整します。やっぱり殺虫処理はしておいた方がいいので、全体に殺虫剤を塗布するのですが、これは石油ベースなので揮発が遅いんです。しかも、雨が降ったり気温が低いと3日や4日じゃ乾きません。ちょっと乱暴ですが温風を当てたりして2日がかりで乾かしました。
Sverniciatore (溶剤)は殺菌効果もあるので、引き出しの中にも使いました。でも、染み込んでしまったインクはとれません。引き出しの底にはきれいな紙や布を敷いてあげて下さいね。
新しいオーナーのMさんは、この引き出しの錠と鍵についても、最初は“不便でもいいから古い鍵穴を保存してあげたい”と仰って下さり、私とTavolino はカオを見合わせて、“いい人みたいだよ、良かったねぇ”と言ったもんです。
でも、Tavolino は、いつもお留守だった錠前用の凹みに、やっと収まるべきものが収まるのも悪い気はしない、といった面持ちだったので、古い鍵穴はいったん塞いで錠前を付ける事にしました。
ほら、鍵穴がずらされた、という事実はしぶとく残ってます。
善くも悪くも、彼に起こった出来事です。今回の修復過程で見つけたくさびの痕のようなものなんです。
さてさて、ここからはちょっとしたマジックです。あのおんぼろ机はちゃんとあるべき姿になったでしょうか…。
完成写真はページ頭にしたいので、ブログを更新しまーす
HP・
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はこちらから。
タグ:
塗膜剥離剤
穴埋めパテ
パーティナ
みんなの【塗膜剥離剤】をまとめ読み
▲
by
tomoko-ingp
|
2008-12-21 15:07
|
アンティーク家具修復
1
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